看護診断ってどんなものがあるの?
- とある男性動物看護師
- 2016年10月14日
- 読了時間: 6分
今日は看護診断にはどのようなものがあるのかを紹介していきたいと思います! では、早速..........

看護診断アセスメント
1.健康知覚一健康管理パターン
ここで何をアセスメントするか
ここでは、対象の認識している健康状態、ヘルスプロモーション行動、医療機関への受療行動、治療法の理解、治療への参加・協力、退院後や今後の治療継続への姿勢についてアセスメントする。また、顕在化または潜在化した感染や身体損傷に関する問題がないかアセスメントする。
アセスメントツール ・治療上、指示されている自己管理(薬物療法、食事療法、運動療法、リハビリなど)があるか ・医師や看護師の指示は守られているか ・治療に対する思い、考え ・身体損傷の危険因子はないか(貧血、低血圧、見当識障害、身体可動性障害、浮腫、るいそう、下肢筋力低下、歩行障害、転倒の既往、せん妄、認知症、他)
代表的看護診断名 ①非効果的健康維持 ②非効果的治療計画管理 ③ノンコンプライアンス ④身体損傷リスク状態 ⑤転倒リスク状態
2.栄養一代謝パターン
ここで何をアセスメントするか
対象の栄養(食物・水分摂取、摂取量)、摂取行動(咀嚼・嚥下)に関すること、皮膚や粘膜、毛髪や歯に関することについてアセスメントする。
アセスメントツール ・身長、体重、BMI、体重増減 ・食事は必要量とれているか、食欲はあるか ・1日の食事回数と摂取量 ・1日の水分摂取量 ・食事内容 ・1日の輸液量(カロリー) ・嚥下困難の徴候(口腔内の食物残留、むせ、咳、のどのつかえ、その他) ・吐き気、嘔吐 ・唾液の増加または口渇 ・口腔内の粘膜の状態 ・誤嚥の有無とその危険因子 ・脱水、体液量不足 ・骨の突出 ・自分で身体を動かせるか、長時間の臥床はないか ・オムツ使用、排泄物による皮膚への刺激の有無 ・皮膚の状態 ・感染の危険因子(糖尿病、ステロイド使用、免疫能低下、その他) ・【検査値】白血球数、CRP、Hg、Ht、総蛋白値、アルブミン値、グロブリン値
代表的看護診断名 ①栄養摂取消費バランス異常:必要量以下 ②栄養摂取消費バランス異常:必要量以上 ③嚥下障害 ④皮膚統合性障害(リスク)状態 ⑤口腔粘膜障害 ⑥体液量不足 ⑦高体温 ⑧感染リスク状態
3.排泄パターン
ここで何をアセスメントするか
排泄機能、排泄パターンについてアセスメントする。
アセスメントツール ・排尿回数(昼と夜間それぞれ) ・1日の尿量 ・尿意 ・尿漏れ(尿漏れはどれくらいか) ・1日の排便回数 ・便失禁、尿失禁 ・便秘・下痢 ・便秘の危険因子(不十分な身体活動、薬剤の副作用、水分摂取量、その他) ・下剤浣腸等の使用をしているか
代表的看護診断名 ①排尿障害 ②便失禁 ③下痢 ④便秘(リスク状態)
4.活動一運動パターン
ここで何をアセスメントするか
運動や活動、運動や活動時の身体の反応(疲労感、バイタルサインの変化)、気分転換活動に関することをアセスメントする。また、現在の活動範囲、ROM(関節可動域)、麻痺、神経筋の異常などについてアセスメントし、対象のセルフケア能力、つまり、清潔・更衣・移動・排泄面の評価を行う。また、呼吸機能、心機能、末梢循環についてもアセスメントする。 アセスメントツール ・血圧、脈拍、体温、 ・循環器系作動薬の使用 ・呼吸数、呼吸パターン、呼吸音 ・効果的な咳嗽、痰の有無、痰の性状 ・呼吸への影響因子(創痛、体位) ・データ:SpO2、PaO2、PaCO2など ・酸素療法(人工呼吸器含む)の内容、吸入の有無 ・呼吸困難感(安静時、労作時) ・ROM制限(関節可動域) ・運動麻痺、拘縮 ・知覚過敏、知覚鈍麻 ・車椅子への移乗の状況 ・1人で食事摂取、排泄、入浴、シャワー、更衣ができるか ・気分転換がはかられているか 代表的看護診断名 ①活動耐性低下 ②気分転換活動不足 ③身体可動性障害 ④床上移動障害 ⑤車椅子移動障害 ⑥歩行障害 ⑦非効果的気道浄化 ⑧非効果的呼吸パターン ⑨摂食セルフケア不足 ⑩入浴/清潔セルフケア不足 ⑪更衣/整容セルフケア不足 ⑫排泄セルフケア不足
5.睡眠一休息パターン
ここで何をアセスメントするか
睡眠、休息、リラクゼーションの内容、充足度についてアセスメントする。
アセスメントツール ・睡眠時間 ・昼寝 ・熟眠感、寝つき ・眠剤
代表的看護診断名 ①睡眠パターン混乱
6.認知一知覚パターン
ここで何をアセスメントするか
感覚や知覚(視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚)・認知についてアセスメントする。特に不快な刺激となるようなものの存在(疼痛や消化器症状)に。その他、意識、言語、記憶、判断などの機能についてアセスメントする。
アセスメントツール ・痛みの有無、部位、程度、期間 ・表情や言動 ・気分不快、悪心 ・見当識障害、健忘 ・意識レベル(JCS) ・視覚、聴覚、味覚、嗅覚 ・病気、治療に関する知識
代表的看護診断名 ①急性疼痛 ②慢性疼痛 ③悪心 ④感覚知覚混乱 ⑤知識不足
7.自己知覚一自己概念パターン
ここで何をアセスメントするか
自己概念に関すること。具体的には自分に対するイメージやアイデンティティ、その存在価値。また、現在抱えている心理的諸問題についてアセスメントする。 アセスメントツール ・不安や恐怖の有無 ・絶望感や無力感 ・表情や言動 ・自分に対する見方 代表的看護診断名 ①恐怖 ②不安 ③絶望 ④無力(リスク状態) ⑤自己概念混乱 ⑥自己尊重混乱 ⑦ボディイメージ混乱 ⑧自己同一性混乱
8.役割一関係パターン
ここで何をアセスメントするか
対象とその家族、仕事または社会的役割についてアセスメントする。 アセスメントツール ・社会的役割の変化 ・社会的役割に変化が強いられることへの言動 ・家族の状況 ・言語障害(構音障害・失語症) ・今後の予測できないことへの不安 代表的看護診断名 ①家族介護者役割緊張(リスク状態) ②家族機能破綻 ③非効果的役割遂行 ④言語的コミュニケーション障害 ⑤予期悲嘆
9・セクシュアリティ-生殖パターン
ここで何をアセスメントするか
性、生殖についてアセスメントする。
アセスメントツール ・性的機能に関しての心配ごとはあるか ・疾患による性機能への障害の有無 ・年齢、閉経、更年期、思春期 ・未婚、既婚、 ・生殖歴
代表的看護診断名 ①性的機能障害
10.コーピングーストレス耐性パターン
ここで何をアセスメントするか
コーピングパターンとその効果についてアセスメントする。 アセスメントツール ・患者に脅威となるストレスが存在しているか ・ストレスに対するコーピング行動 ・コーピング行動による患者の反応 代表的看護診断名 ①非効果的コーピング
11.価値一信念パターン
ここで何をアセスメントするか
対象の健康に関する価値観や信念(信仰)、期待についてアセスメントする。 アセスメントツール ・健康に関する価値観、信念、期待 ・宗教 ・死に対する考え 代表的看護診断名 ①霊的苦悩(リスク状態)
この中から動物看護に当てはめれないものもありますので、当院では上記のアセスメントツールより8項目に絞り、それぞれ動物用に定義付けし直し導入しましたが、定期的な見直しは必要ですし、種別での違いもあるため一筋縄ではいかないのが実際です。
しかし、これで諦めてしまっては前に進まないですから日々、あーでもないこーでもないと議論を重ねています。
とまあ、なかなか目にするだけで拒絶しそうな文字が並んでますが、紐を解くと大変興味深い分野でもありますので、このブログで少しずつ学びを深めていただければなと願っています!
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